ということで、ものすごく久々の研究室更新となってしまった名草です。
皆さん、ライトノベルというものをご存知でしょうか。ヤングアダルト小説でもいいですけど。 細かい定義はともかうとして、よーするに、そうですね。小説で、アニメが原作じゃないのに漫画の森で扱っていて、まんだらけで買い取ってくれる本のことです(←ちょっと語弊アリ?)。普通の本屋さんではたいてい、小説コーナから隔離されていて、ヘタをするとコミックのコーナのとなりにひっそりと売られていたります。 実は名草さん、昔からライトノベルファンやってます。いや、某スレイヤーズになんか、いくら投資したことやら……
それはともかくとして、『富士見ミステリー文庫』というレーベルがあります。これもライトノベル系の文庫です。
数年前に、いわゆるコミックのミステリーブームに便乗して富士見書房(というか、角川書店というか)が無理やり立ち上げたレーベルです。実際その後も方針が2転3転しています(^^;;
で、まあ案の定、某大型掲示板では『地雷』あつかいされていたりもします。ついでいにうと確かに9割くらいが地雷です(爆)。 しかしながら、そんななかで、一つだけムチャクチャ面白いと個人的に感じる作品があるので、ご紹介しようかと思います。
それは『タクティカル・ジャッジメント』という作品です(著:師走トオルさん)。 主人公は弁護士で、『いちゃもん』『ハッタリ』『コジツケ』で検察を手玉にとって依頼人の無罪を無理やり獲得するという話。
……と、こう書くとむちゃくちゃのようですが、これがとても面白い。 推理小説的な展開もあるし、なにより裁判場面での互いの駆け引きや技法、探りあいなどの緊迫感あふれるやり取りが本当に面白いです。 富士見とは思えないくらい、でっかい矛盾点がないのも高ポイント。 そして、基本的な刑法は現在の日本のそれでありながら、陪審員制を試験的に導入した世界観というのもその盛り上げに一役も二役も影響しています。
『逆転裁判』のパクリという面は確かにあるけど、個人的にはこちらの方がだんぜん面白いと思います(ゲームと小説を比べるというのもムチャな話ではありますが)。
特に長編3冊目『いやがらせのリベンジ!』が最高です。 序盤警察側の視点で一気に犯人逮捕までこぎつけ、自白までとりながら、一体どうやって主人公が弁護していくのか。 途中までの展開は読めると思いますが、さらにその裏もあります。そして最後の3行でつくオチに脱力しながらも笑えもします。なにより会話や一人称がライトノベルの良い部分と法廷サスペンスの良い部分をあわせたかんじで、読みやすく緊迫感あふれています。
少なくとも『面白さ』という意味では、ここまで面白いサスペンス小説というのは、ライトノベルに限らず、一般小説を探してもそうそう無いのではないかとすら思っています(←別にナンバーワンだと言っている訳ではないです) あくまで『面白さ』ですので、個人の感覚によるところが多いかとは思いますが、読んだこと無い方、だまされたと思って一冊でいいのでちょっとだけ手にとってみていただけないでしょうか。 まあ、だまされても、富士見の文庫なんで500円くらいですし。時間もせいぜい2時間ですし(笑)。
そんなこんなで、『富士見ミステリー文庫だから』、『ライトノベルだから』というだけの理由でこの小説がミステリーファンに読まれていないのがとても残念なのでご紹介までに書いてみました。
あ、ちなみに、富士見ミステリーに地雷が多いのは間違いないので、手当たり次第に買うのはやっぱり控えたほうがいいです。これ以外では『レンテンローズシリーズ(大田忠司さん)』『激アルバイター・美波の事件簿シリーズ(谷原秋桜子さん)』あたりがオススメです。 大田忠司さんは徳間ノベラズとかでも書かれている本職のミステリー作家さんなので安心です。谷原さんは某作家先生の変名だという説あり(←たぶん眉唾)。まあ、そのくらいトリック部分は良くできていたということ。
真・女神転生とか、東京タブロイドとか、『別の意味』でオススメの小説はありますが、ミステリーとしてまともに読めるのはこの3つくらいじゃないかなぁと思います(いや、さすがに全ての作品を読んだわけではないので、断言はできませんが)。 なお、少年探偵彼方の原作者、夏緑さんの『理央の科学捜査ファイル』なんてのもありますが……ま、あまり期待しないほうがいいかも(汗)。
しっかし、このレーベル。一番の『謎』はいつから『真・女神転生』がミステリーになったのかってことだよなぁ(^^;; |
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