▼名草の研究室▼
名草’Laboratory

池田知佳子殺人事件の真相(コナン5巻) 2003/07/26(土) 01:33

 第5巻FILE1〜5で描かれている池田知佳子殺人、ならびに毛利蘭暴行殺害未遂事件(江戸川コナン暴行も?)。
 しかし、この事件にもまた、知られざる裏の真相がある。

 まず、この事件なのだが、犯人の行動については、大筋ではおそらく最後に園子(コナン)が述べたとおりなのだろう。人形を使ったトリックも、そのとおりであると考えられる。
 だが。
 この事件を犯人サイドにたって今一度検証してみると何か『違和感』を感じるのだ。コナンの推理が正しいとして、順を追ってみよう。

 1.犯人はこの旅行で知佳子に対する復讐をもくろんでいた。
 2.そのために年密な計画を立て、その中には自分自身の体型を偽り、首を運ぶというものがあった。
 3.別荘についてしばらくして、第3者である毛利蘭が各部屋の扉を次々と開けてしまうという
ハプニングがあった。
 4.犯人は『もしかすると蘭に自分の体型を見られたかもしれない』と感じた。
 5.そのため、知佳子を殺す前に森の中で毛利蘭を襲った。
 6.しかし、その襲撃はすんでのところで、江戸川コナンと鈴木園子の乱入で
  失敗に終わった。
 7.そのためとりあえず毛利蘭の殺害は後に回しにして
本来のターゲットである池田知佳子を計画どおり殺した。
 8.改めて夜中、毛利蘭を襲うが、これまた江戸川コナンに阻止される。
 9.しかし、運良く(?)雷で停電が起き、それに乗じて毛利蘭を襲うが、
彼女が空手の達人であったが為に失敗に終わる。
 10.謎解き、自殺未遂後事件解決。

 ポイントはカギカッコで囲った部分である。

 ……なんかチグハグじゃないか?

 まず、4→5への展開であるが、ここに第1の違和感がある。
 フツーに考えると、自分の体型を第3者にみられた可能性を考慮した時点で、その見た人間を襲うよりも、まず殺人計画そのものを見直すのではないか?
 犯人はまだなにも犯罪を犯してはいないのである(包帯男に化けて脅してはいるけど)
 たんに体型を偽っていたということだけなら『いやーじつは頑張ってダイエットしたんだけど、みんなをおどろかそうとおもてさ。ははっは……』ですむのだ。

 しかし、これだけならば『あるいは、犯人は自分の立てた計画によほど固執していたのかもしれない』という反論も成り立つ。
 だが、その後の行動がさらにおかしい。
 6→7である。
 犯人はまだ毛利蘭の口を封じてはいないにもかかわらず、あの大胆なトリックをつかってしまっているのだ。
 もしも、『蘭にみられたかもしれない』とおもっているならば、少なくとも蘭の口を封じるまで『知佳子の殺人は行わないはず』である。

 …………

 どーかんがえても、こういう理屈になってしまうのだ。
 で、このことを踏まえて再度検証を行ってみたい。

『蘭の口を封じていないにもかかわらず知佳子を殺害した』

 結局のところ、そういうことであり、であるならば答えは一つなのだ。

 知佳子を殺害した時点では犯人は蘭は自分の体型について気がついている可能性はないと判断したのである。
 なぜならば『蘭はその後自分の体型についてなにも指摘してこないから』。

 これっきゃ考えられないのだ。

 ではなぜ、森の中で蘭は襲われたのか。

 たんに包帯男の脅威を植え付けたかったのか?

 いや、違う。おそら『蘭は知佳子と誤認された』のである。

 もちろん、蘭と知佳子では背格好はともかく髪の長さすら違う。

 しかし、蘭が襲われるシーンをもう一度見直してみて欲しい。包帯男は蘭の『後姿しか見ていない』。さらに『現場は夜の森であり、視界は最悪』。『包帯をグルグル巻きにしておりさらに視界をさえぎっている』
 そしてこれが決定打なのだが。
 犯人は屋根の上から全員が出ていくところみており、
 知佳子は角谷をふりきって一人ででていくところをみており、蘭は太田と一緒に(少なくとも表面上は)仲良く出ていくところを目撃している(園子とコナンも一緒に出かけているが、髪の色や体格の面から問題外)。
 で、全員がではからったところで犯人は彼らの跡を追った。
 そこで、蘭が(雷にビビってだか、角谷にせまられて新一の事を思い出したからかしらんが)、一人で森の中にいたのを『後姿だけ』『暗闇の中』『遠くから』『葉っぱ越しに』見たのである。

 そもそも、考えてみればあの状況で犯人が逃げ出す理由もない。小学生の男の子(しかも一年生)と女子高生がやってきただけである。タイミング的にも蘭をオノで叩き殺してから逃げる事も可能だった。
 あれは『コナンと園子が来たから』逃げたのではなく『ターゲットを見誤ったから』逃げ去ったと考えた方が自然なのである。

 犯人は本来、知佳子を置手紙で呼び出すつもりだったのだが、運良く、知佳子が一人で森に向かって走っていったので計画を変更し、直ちに殺害しようとしたのである。あの場で知佳子を殺していても、例の人形のトリックはできるではないか。

 しかし、ターゲットを見誤ったために犯行は失敗。
 そこで当初の予定どおり、置手紙で呼び出し殺害したのである。

 ではその後の2回にわたって毛利蘭を襲ったのはなぜか。

 まず2回目に蘭が襲われた件(上記8)について。
 これは犯人によるミスリードである。
 知佳子を殺しただけで事件が終わってしまっては『包帯男は知佳子のみを狙ったのではないか』と疑われてしまうと考え、蘭(とコナン)を襲ったのである。
 ではなぜ、蘭だったのか。
 それはズバリ↓である。
『部屋割り的に彼女達の部屋しかムリだったから』
 そう、知佳子の部屋を通って外部犯に見せかけるという例のトリック(詰めが甘くて逆にコナンには内部犯であると考えさせてしまったのだが)は『蘭の部屋でしかできない』のだ。
 そう考えると、この時も『犯人は蘭を殺すつもりは無かった』のである。
 コナンの大声で逃げたようにも見えるが、やはりここでもタイミング的には(コナンはムリだが)蘭にオノを振り下ろす事は可能だったように見えるのだ。

 ところが、3回目(上記9)に蘭が襲われた時。

 この時は明かに蘭を殺そうとしている。
 そして、包帯男に化けてもおらず、いつ停電が戻るかも分からない状況であり、この時ムリに蘭を襲ったのは明かに『蘭を殺す必要性が生じたから』なのだ。
 それはなぜか。

 実は作中で8と9の間で作中ではあることが起きている。
 それは何か。
 ズバリ『コナン(新一)が蘭に『みんなの部屋にはいっちゃったときに何か見なかった?』と聞いた』のである。さらに蘭は『何か頭にひっかかっているような気がする』と答えている
 この時になって初めて、犯人は『蘭を殺さなければならない』と感じたのである。

 即ち。
 ここでコナン……いや、あえて新一と言おう。新一が『うかつにも』容疑者の前で蘭にあの問いをしたが為に、蘭は3たび教われる羽目になったのだ。

 名探偵が犯罪を呼ぶとはよくいわれるが、この事件ではまさにそのとおりであったといえよう。新一の迂闊な一言がなければ、この事件は『池田知佳子殺人および毛利蘭暴行事件』でったにもかかわらず、あの一言の為に『池田知佳子殺人および毛利蘭殺害未遂事件』になってしまったのである……

 以上が裏のこの事件の裏の真相である。
ブラウザの『戻る』ボタンでお戻り下さい

Copyright(C) 名草