<模倣犯>宮部みゆき
秋の夜長である。月並みだが、読書をするには本当に良い季節だと思う。季候もいいし、大きなイベントもそんなにはなくて精神的にも落ち着いているし。ここらでちょっと大作に挑戦するのもいい。堂々の大作、上下2冊です。
連載先は週刊ポスト。オヤジだ・・・(爆)ミステリー界のプリンセスなのに・・・(若干オヤジ向けと思われる文章表現や場面などがあったりする)
それはさておき。
おいおい・・・上巻の半分あたりまで来たところで犯人らしき人物、死んでしまいました・・・おーい。この後どうするんだよー。しかも「コージーミステリ」作家の代表のように言われていたのに・・・ひとが死にまくる・・・山本文緒を連想させる、いやな人物描写も続きます。うーむ。ちょっと作風変わったのかしら。それともポストだから・・・?(爆) この作品、上下2冊なだけあって各登場人物の描き込みが細かいです。キャラ立ってます。いろんな人物の視点から描かれているので登場人物の性格が読者の思いこみを裏切ったりするところもある。この辺は小説ならではのだまされる楽しみ。映像ではできない芸当です。 また、あまり重要視されない「被害者の権利」を追求しているあたり、ちょっと社会派、入ってます。
最後に本作のもう一つの楽しみ。本作は本当に名言、名せりふが多い。その中でワレのお気に入りを一つ紹介してお別れしましょう。
豆腐屋の店主のおじいちゃんというのが出てくるのだが、そのじいちゃんがまた屈強なオヤジなんだ。ポストオヤジもかくありたい、と思うような。(爆) その屈強なおじいちゃんが犯人に言って聞かせる名せりふである。
「本当のことっていうのはいくら遠くに捨てに行ってもちゃんと帰り道を見つけて自分のところへ帰ってくるものなんだ」
どんな人間も自分からは逃げることができない。自分をだますことはできない |
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