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図書館だより 12 2001/11/18(日) 21:27

<レッド・ドラゴン>トマス・ハリス
<羊たちの沈黙>トマス・ハリス
<ハンニバル>トマス・ハリス

 その3であります。<ハンニバル>・・・これはねえ・・・一応3部作だから入れたんだけど、本当はちっともおすすめじゃないんだよね。話の筋としては。蛇足だもん。映画化のために作られたような気しかしないしねえ。ワレは実は映画は見ていないのだがこれを読んだら「ジョディ・フォスターがクラリス役を蹴った」というのがわかる気がするんだよねえ。ジュリアン・ムーアも辛かっただろうが。

 やっと精神病院を脱出したレクターの、ヨーロッパでの華麗なる生活がよく描かれています。本作はレクターが自分のために書いたんじゃないかと思うくらい。彼の美意識が生きてます。

 でもねえ・・・こんなに長編にしなくても良かったと思うんだよね。番外編みたいな形でもっと短くなっていたらこんなにウンザリしなかったかも。メージャーと彼の一家の存在なんて伏線でしかないんだもんなー。

 それと、結局出てきちゃうレクターの過去。これがいやでしたね。何でもトラウマとかにしちゃう空気って最近あるでしょ。クラリスが調べたならともかく、快楽殺人者であり、カニバリズム愛好家のレクターが回想はいかんよ。刹那的に生きないと。
 レクターっていうのは時間が止まっている感じ(生まれたときからあの姿として存在して永遠に年も取らないような感じ)が魅力だったのだが、この作品では過去とか未来とか考えちゃっててだめですよ。

 一部の読者はあれで納得したでしょうが。
ワレは認めん!

前回の図書館だよりでも、

 クラリスとレクターは鉄格子を挟んで向かい合う。あくまでその鉄格子はなくならない。そうでなくてはいけない。そのスタンスがこの作品におけるクラリスのあり方であり、ジョディ・フォスターの解釈でもあろう。

と書いた。こうあって欲しかったな・・・ワレは・・・そのへんがジョディ・フォスターが降りた理由だと思うんだけど。

 
<おまけ>
 映画化にあたってゲーリー・オールドマンが出ると聞き、これはパッツィ役しかない!と思ったのだが違っていてがっかり。彼はこういうお金と女にだらしない刑事役を熱演するのだが(「蜘蛛女」「レオン」参照)特殊メイクで顔も出ないらしい。つまらん。
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