＜名探偵の掟＞東野圭吾
物事には「お約束」というやつがある。ミステリーもしかり。
「名探偵 皆を集めて さて、と言い」なんていう川柳もあるが、探偵や脇役のの決めゼリフやら服装やらシリーズものには特に多い。毎回同じにするというのも作者はどんな気分なんでしょ。飽きないのかな。読者にすれば「待ってました！」というのもあるんだろうが。
しかし・・・ここで大きな疑問が浮上。
果たして「お約束」は必要なのか？
なぜ密室にしなければならないのか？なぜ見立て殺人でなければならないのか？
必然性を読者に納得させること、それを実行するという面倒くささ、途中で犯行がばれる危険性など、犯人にも、作者にもリスクは大きい。それによってやたら不自然になっている小説も多数あり。だからこそ成功すれば大作、名作となるわけだが。
今回の作品はそんな「お約束」に容赦なく楽しくツッコミを入れている。１作１テーマのシリーズ短編集だから読みやすい。密室、アリバイ、ダイイングメッセージ、見立て殺人、凶器・・・ベタなほどの「お約束」・・・シリーズ主役の探偵も天下一大五郎というベタなキャラ。東野圭吾が書くからこそ笑えます。こういうものは中野翠やら栗本薫が書いたってねぇ。清水義範なら別だけど。
もちろん、たくさんミステリーを読んでいる方ほど楽しめます。
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