<氷点>三浦綾子
自分の娘を誘拐し、殺した犯人の娘(と思われる)を引き取り、育てる・・・ それが自分への試練であり、事件を本当に乗り越えることにつながる。一見キリスト教的聖人君子的に見えながら実は自分のことしか考えていない(聖人君子であるならば当の娘に絶対知られないように努力するのだが結局知られちゃうし、何より娘が誘拐されるような状況を作った妻に対する責め苦であることの正当化の理由であったりするのだ。)、何と傲慢で、はた迷惑な発想だろう。そしてもちろん、読者の予想を裏切らず、この父親の決意が多くの人の苦しみを作りだしていく。
近頃テレビドラマ化されたのでご存じの方も多いことでしょう。ワレはキャストがいまいちで観ていませんが。原作からは離れた内容になっていたのでしょうか?社会背景がちょっと昔なので主人公の考え方なんかが特に今の中高生には合わない所があるかもしれない。しかし、それがまた新鮮でもある。(はた迷惑な父親はどこまでもはた迷惑なのでどうでも良いです。) 「運命」に翻弄されながらも背筋を伸ばして生きている主人公が凛々しいです。だらだら「じょしこーせー」してるような子は是非読みなさい!(暴言)
そして、「笑点」が「氷点」のもじりだというのは有名な話ですが、そんな風にあやかりたいと思うくらい、理屈抜きにおもしろい。今読んでも。絶対「続・氷点」まで読んでください。
大映テレビシリーズがお好きだった方(このHPに来る人は知らん人の方が多いか?)は絶対ハマる。
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