<陰陽師>夢枕漠
24号であんな内容を載せておいて、今更これを持ってくるというのは両方読んでいる方にはつっこまれそうな気もしますが、まあ読んでください。
折しも「陰陽師2」の公開。映画をごらんになった方は原作と比べられる方も多いことでしょう。映像化されるとえっ?という作品が多い中、本作はかなりいい線いっているのではないでしょうか。主演の野村萬斎さまは夢枕氏の直々のご指名だそうですからもともとそういうイメージなのかもしれません。博雅役の伊藤英明さんもかなりはまり役。二人ともとってもお素敵です(爆)
夢枕氏の描く陰陽師はいわゆる安倍晴明伝説に基づく陰陽師。平安時代のセレブ達に重用され、職務に忠実でありながらもどこか厭世的で、俗世のことにはあまり興味がなく、かといって何も知らないのではなくて結構いろんな事がお見通しで、決断力もあり、そしてもちろん容姿端麗・・・相方の博雅もすばらしい音楽の才能に恵まれ、晴明を助け、ある意味では彼を現世につなぎ止める存在として欠かせない。やっぱりホームズとワトソン的組み合わせって古典なんだけど、ワトソンがいい意味でまっとうなふつうの人だからこそホームズ的存在が生かされるんだよね。 対照的な陰陽師として登場するのが芦屋道満だが、だから道満には誰もいない。博雅がいなければ晴明も道満のようになるのかもしれない。
このシリーズではテーマというかキーワードとして「呪」(しゅ)というのが使われている。直接的には陰陽師の呪術をさしているのだが、晴明はそれをより大きくとらえ、科学的、哲学的に表現する。そこがこのシリーズをただの伝奇ものには終わらせないようにしている。
晴明がインターネットやヴァーチャルの世界を知ったら何というかな。 |
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