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図書館だより 2 2001/09/25(火) 12:21

<占星術殺人事件>島田荘司

 ミステリに欠かせないもの。それは探偵である。主人公なんて誰だっていいのだが、探偵がいなくてははじまらないのである。ワレのミステリ選択基準の一つは探偵である。その人物のキャラがどれだけ立っているか。言い換えれば作者の描き込みにかかっているわけだ。(いや、ワレの選択からはずれても作者は痛くもかゆくもないだろうが)
 今回はそんなワレのお眼鏡にかなった探偵の一人を紹介しよう。御手洗潔である。おてあらいではない。みたらいだ。シリーズのなかにも「トイレみたいな名前(そのまんまじゃん)」「おてあらいさん?」などと言われる場面が出てくるが、しかも名前がきよし。親も何を考えていたのかわからん名前だ。変なのは名前だけではない。言うことも行動もエキセントリック。一緒にいたら疲れそうだ。友達には欲しくないタイプである。ワトソン役として石岡君という人物が彼の扱った事件を本にしているのだが良く友達づきあいができるものだ。そういう意味では石岡も常人ではない。
 本作品はそんな御手洗のデビュー作であったと記憶している。(すんません、いいかげんで)「金田一少年の事件簿」にこの作品のトリックが応用されたものがあるのでご存じの方も多かろう。トリックを知っているから読んでもつまらない?まあ、そう言わずに。好きな作品の本文やあとがき、解説に出てきた他の作品を読んでみるというのも本の楽しみを広げる一つの方法である。(Qの「3枚の肖像画」の本、読んでみましたか?)もちろん、御手洗というキャラを楽しんでいただけたらなおいいと思う。
 数あるシリーズの中でも本作品を選んだのはそうした遊びの部分と(この作品自体も某有名作品を引用してこけにしまくっている)もうひとつ、御手洗の本業は占い師なのだが(作者自身もこの方面に詳しい)占いシーンはほとんどでてこない。この作品はそういう意味でも貴重である。
 ところで島田荘司というひとは作品にやたら図がでるひとである。トリック説明も図1枚で終わり。(「斜め屋敷の殺人」)いいのか、それで。 

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