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図書館だより34 2004/04/17(土) 19:03

<マークスの山>高村薫

この度、「マークスの山」全面改稿なんだそうです。本作品は93年の直木賞受賞作品、萩原聖人と名取裕子で映画化もされています。若い人のために言っておくと、このころ高村薫は宮部みゆきと並んで新しい注目株とされていました。宮部みゆきはミステリ界のプリンセス、高村薫はミステリ界のクイーンとまで言われたのです。ハードな題材を扱い、文体も硬め。最近は新作もなかなかでませんが、当時はいいもの書いてたなあというのがぶんぶんの私見です。しかし、直木賞まで取ったものを改稿しちゃっていいんだろうか。

 では本作品についてです。なにしろ10年前の作品なので改稿前の作品に対する記憶は「おもしろかった」と「『マークス』の意味づけにはちょっと無理があるんじゃない?」しか残っていないのですが、もし図書館などで古い方が手にはいる方は読み比べてみてください。この図書館だよりは新しい方についてです。ぶんぶんも近日読み比べる予定。

 久しぶりに硬めの文体を読んだなあ、って感じでした。文章がちょっと男っぽい。意識して男っぽく書いているのかも。結構歯ごたえがありました。
 ミステリというよりはクライムノベルなのかな、マークスと水沢の関係とかマークスが事件を起こした背景なんかはいまいち曖昧なままなのが気になりました。これじゃあマークスはただの異常者になっちゃうんだよなあ。合田は格好いいけど。
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