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図書館だより35 2004/05/03(月) 21:12

「インファナルアフェア」

 星の双子という言葉を聞いたことがありますか。

 占星術学上の双子という概念があるのだそうです。たとえ赤の他人であっても同じ年月日、同じ地域、同じ時刻に生まれた二人は同じような運命をもち、同じような人生を送るといいます。たしかに星の運行がその人を運命づけるならばそれも理にかなった話ではあります。
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 マフィアに潜入した警察官と警察に潜入したマフィア・・・互いの組織がその存在に気づいた時。
 入れ替わってしまった「王子と乞食」の話・・・あれは最後はどうなったのでしたっけ・・・もし元に戻れたとしても戻れなかったとしてもその後の人生は二人とも大きく変わってしまうのではないでしょうか。

 人が演技を義務づけられた時、本当の自分を見失ってしまうのではないでしょうか。
人を狂気に追い込むのは実はとても簡単なのだそうです。例えば、私を周囲の人間の誰もが「ぶんぶん」として扱わない、違う名で呼び、違う人間として扱う。それだけのことで人間というのは狂ってしまうのだそうです。自己同一性の崩壊、とでもいうのでしょうか。トニー・レオンのやるせない表情がいいのです。ぎりぎりのところで自分を保つ彼が胸に迫ります。
 対照的なアンディ・ラウ。彼のやっていることは犯罪なのだけれど、表の顔は警察官で、一見さわやかに見えます。しかし、彼には彼の苦しみがやってきます。

 エンディングで流れる曲は「無間地獄」のことを歌っています。生き残ることで負わなければならない地獄のことです。

 一見大きく違って見える二人の運命は苦しみの形が違うだけなのかもしれないですね。 
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