9月1日午後3時55分、ミザリー美術館。
本庁にも怪盗シャドウシーフの招待状が届いたことにより、美術館は警察による厳重な警備がされている。 そんな中『微笑まないモナリザ』から少し離れたところで、一人の青年がトレンチ・コートの銭形帽をかぶり、葉巻を吸っている男の人と話し込んでいた。 青年の方はもちろん、クロード・ハントであるが、もう一人のトレント・コートの男性は本庁の警部である。ハントとはある事件をきっかけに知り合ったのであるが、この事件についてはいずれまた。 ここで、この警部のことについて語っておこう。 名前はぶんぶん警部、現在28歳で独身、性格は自信過剰で思い込みが激しく、涙もろいところがある。 怪盗シャドウシーフにはかなり手をやいている。
ハント「警部えらく厳重な警備ですね」
ぶんぶん「これでもたらないぐらいだよ」
ハント「相変わらず、シーフのことになると、すぐむきになるんですから(笑)」
ぶんぶん「しかしながらやつはいつもいつも予告状なんて送ってきおって、警察をなめておるんだ」
ハント「そうでもないですよ。シーフは僕と同じく変装を得意ですからね。彼は変装する人の声までそっくりに成りすますことはできますからね。」
ぶんぶん「じゃー、やつは一体どうして、わざわざ予告状を?」
ハント「最後の逃走手段の確保ですよ。木を隠すなら森の中にというでしょ。逃走困難なときの奥の手として警察に成りすまして逃げるんですよ。」
ぶんぶん「いつもいつも馬鹿にしやがって」
ハント「それはそうと、年配の館長と若い秘書のかたは今どちらに」
ぶんぶん「さっき、絵を確認するといって絵の側にいるよ。」
ハント「そうですか。それはそうと今日はうりあむくんを連れてくるべきでしたね。」
ぶんぶん「そういえば今日は彼がいないね。」
ハント「彼にはちょっと調べものを頼んでいたんであるんですよ。」
ハント「そうこういっているうちに、時間みたいですよ、警部」
とその瞬間あたりが煙に包まれ、天井のステンドガラスが割れる黒い影とともに白いマントを纏った青年が降り立った。 TO BE CONTINUED |
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